底辺でも誇り高く生きる日記

貧乏・コミュ障・卑屈の三重苦主婦です

物分かりがいい子供の心の闇

 

 

この間、下の子供(次男)と普段行かない公園に遊びに行った。

 

ずっと行きたいとせがまれていた公園で、自宅から遠く、駅から離れていると言うこともあり、なかなか行けなかったのだが、最近春めいた暖かい気候が続いていたので、重い腰を上げて、ようやく連れて行く事ができた。

 

 

次男は初めての遊具に目をキラキラさせ、早速近くにあったアスレチックで遊ぼうとした。

 

しかし、そこで遊んでいた男の子が、『これ、ぜーんぶ僕と◯◯(妹)のもの!だから、入って来ちゃだーめ!』と彼に強い口調で言ってきた。

 

カラフルなトレーナーを着たその子は、見た感じ、次男と同い年か、1つ上くらいに見える。妹がいると言ったので、辺りを見回してみたら、違う遊具でお母さんらしき人と手を繋いでいる1歳ぐらいの女の子がいたので、きっとその子の事だろう。

 

 

今でさえ、2人子供の親ではあるが、昔から生意気な子供が大嫌いな私。

 

『は?公園の遊具はみんなのものだろうがクソガキ!』と、そのままこの生意気な子供にダイレクトに返したかったのだが、気が弱過ぎる上に何も言えず、次男の耳元で『あっち行こうか…』と、立ち去るように諭すことしか出来なかった。

 

 

悔しい、と言うより、大人としても親としても、情けない。↑のような汚い口調でなくても、他所の子供だろうが、悪いことは悪いと伝えなければいけなかったのに。

 

心の中で地団駄を踏んでいる私をよそに、次男は表情1つ変えることなく、『お母さん、あっちに行こう』と、別の遊具に私を誘導した。いつもなら私の代わりに『ここはみんなのものだよ』とハッキリ言う事が出来るのだが、次男は今回、その子に言い返す事もしなかった。

 

こうして、次男があっさり折れて、遊具の取り合い?は収まったかと思った。しかし、その男の子の妹が、次男と遊んで欲しいのか、彼の後ろを着いて来たのだ。

 

 

ここまではよくある光景で、次男も小さい子が寄ってくると『あ〜。赤ちゃん着いてきてる。可愛いね』と照れながらも嬉しそうにするのだが、何故か今回に限っては完全無視。

 

 

え?なんで?気づいてないの?

すぐ後ろに赤ちゃんがいるじゃん…

 

そう思いながらも、スルーし続ける次男。それに気づいた赤ちゃんのお母さんに『ごめんなさい、お兄ちゃんのこと気に入ったみたいで』と声を掛けられるも、苦笑いを浮かべることしか出来ない私。

 

そこに、さっきの男の子が独占していたアスレチックから降りて来て、彼もまた次男を追いかけ始め、今度は『ここも遊んじゃダメ〜』と再び追い出しに掛かって来た。それどころか、次男より小さな他の子にも意地悪なことを言い始めたので、さすがにもう黙っちゃいられんと思い、自然と口から大声が出てしまった。

 

 

『ここはみんなの遊び場だから、一緒に遊ばせてね!』

 

さっきまで気弱だった私の目の色が急に変わったことに、男の子は一瞬怯んだような表情を浮かべた。しかし、それもすぐにさっきの生意気な表情に戻り、今度は立ち去る次男を追い掛け始めた。

 

 

『すみません、何か、構って欲しいみたいで』そう言う男の子のお母さんの言葉も聞こえているのか、聞こえていないのか、次男は追いかけてくるこの兄妹を完全スルーで、マイペースに遊び続けている。

 

『いえいえ、こちらこそすみません…』と、お母さんに謝ったその時、突然次男は立ち止まり、『お母さん、もう帰ろ。』と、私の手を引き、スタスタと自転車置き場に向かって歩き出してしまった。恐る恐る後ろを振り返ると、次男に無視され、しょんぼりとした兄妹が、こちらをじっと見つめていた。

 

 

せっかくの公園遊びが何だか消化不良に終わってしまったことにガッカリしつつ、今まで見た事のない次男の行動に驚いてしまい、『さっき男の子と赤ちゃんが追いかけて来てたのに、気づかなかったの?』と、自転車を漕ぎながら聞いてみた。

 

すると

 

『いや?気付いてたけど?笑』

 

 

と、悪意のこもった返事が薄笑いと共に返ってきたので、若干寒気がした。

 

 

 

あぁ、やっぱり、わざとだったか。

 

次男は意地悪な子が許せなくて、何を言われてもスルーを貫いたのだ。同じ歳の頃はすぐに頭に血が登り、手を出し、身体的苦痛を負わせようとした長男とは違い、次男は精神的苦痛でやり返したのだ。

 

もちろん、どちらも決して良いことではない。しかし、本当に仲良くしたい友達であったなら、次男はちゃんと口で『みんなで使うものを独り占めしたらいけない』とハッキリ伝える性格だ。それすらしなかったと言うことは、あの子は次男にとって、それまでの存在だったと言うことなのだろう。

 

 

とはいえ、あの悪代官のような顔は、親として少し不安になった。

 

スルースキルがあると言えば、聞こえはいいかもしれないが、普段からニコニコしていて、愛嬌のある次男の心の闇を覗いてしまったような気がしたからだ。

 

 

子供の心を育てるのは、本当に難しい。

あの時、親としてなんと言うのが正解だったのだろうか。

 

しかし、あの次男の悪びれもしない態度を咎めるどころか、ざまあと思ってしまったほど性格の悪い私が何を言っても、彼には響かないに違いない。

 

 

 

『みんなの場所はみんなで仲良く使おう。それが出来ない子とは、無理に仲良くする必要はないよ』

 

 

 

うーん、こんな言葉が妥当だろうか…

 

前進も後退も全て自分次第

 

 


 

お題「#この1年の変化

 

 

初めてお題に挑戦してみます。

 

 

コロナが世界中に蔓延してからもう1年が経つ。

今まで当たり前だった事が当たり前では無くなってしまい、私たちの生活は一変してしまった。

 

もちろん、不便なことの方が多くなった。しかし、私のような人間は、どこかでこの変わり果てた生活に居心地の良さを感じたのも事実である。

 

コロナ以前から私は冬場〜春までの間、素顔を隠すために期間限定でマスクをしていたのだが、今では期間限定ではなく、1年中マスクをして素顔を隠す事ができる。化粧品代も浮くし、何より法令線シワシミクマオンパレードの残念な素顔を怪しまれる事なく隠せるようになり、本当に助かっている。

 

あとは交際費の減少。以前からそこまで人付き合いは多い方ではなかったが、時々私みたいな底辺を可愛がってくれるセレブママ達から、お茶や飲みやレジャーに誘われたりするので、その出費が意外と毎月痛かった。

 

まず、普段着ている毛玉だらけの服は着ていけないので、前日までにし◯むらで新品の洋服を一式買っていたし、お洒落なお店で一緒にショッピングをしたり、地元で美味しいと有名なパスタ屋さんに行ったり…と、1日で諭吉が数枚飛んでいくこともあった。

 

しかし、これが一切、までとは言わないが、数ヶ月に1回ペースぐらいになったので(緊急事態宣言の地域在住のため、現在は皆無)、僅かな額だが、貯蓄に回せる月も出るようになった。3月から正式に上の子供の塾通いも始まるのだが、コロナ禍じゃなかったら、逆に通わせることが出来なかったかもしれない。恥ずかしい話なのだが。

 

以前までは、引きこもって、人との接触を避ける私の生活を否定する人は多かった。家で寝てばっかりでつまらなくないの?もっと外に出なきゃ!人と接しなきゃ!と諭してくる人の言葉が痛かった。

 

しかし、今では引きこもっていると言えば、褒め称えられるのだから不思議だ。テレビも雑誌もこぞって『おうち時間を楽しもう!』としきりにアピールしているし。時代がいよいよ私に追いついてきたか?!と、勝手に市民権を得たような気分でいる。

 

 

ちなみに『おうち時間』繋がりで、もう一つ、この1年間で変わった事がある。

 

今まで勿体ぶって黙っていたのだが、このお題を書いている今、ドヤ顔で発表させてもらおうと思う。

 

 

実は、30代にして、20歳の頃の体重に戻ったのだ。

 

今まで何をしても痩せなかったのだが、このコロナ禍で飲み会やランチが無くなった事や、第一波の時、仕事に行けなくなり、収入が一時的に無くなってしまい、ガチの貧乏になってしまった事がきっかけで、食事を減らしたついでに宅トレや食事改善によるダイエットをした。

 

その結果、標準+3kgほどだった体重が、標準−5kgまで落ちた。鎖骨とお腹の線が現れ、20代の頃のスキニーデニムがすっぽり入るほどの体型変化を成し遂げた。ピンチをチャンスに変えた、まさに貧乏の底力である。

 

 

痩せたことで経済的にも精神的にも嬉しいことが増えた。

 

箪笥の肥やしになっていたデニムやタイトな服を着られるようになったし、肌艶や髪質も良くなり、高い化粧品やシャンプーを買う必要が無くなった。今現在、使っている基礎化粧品とヘアケア商品は全てドラストの最安値商品であるが、特に不調はない。

 

 

また、意外な視点ではこんなことも。

 

痩せたことで、知り合いに気づいてもらえない事が多くなったのだが、逆に私に取っては都合が良かった。苦手な人に存在を気づかれなくなったので、嫌な思いをすることが少なくなったのだ。

 

 

そんなこんなで、不謹慎ではあるかもしれないが、私にとってコロナ禍は必ずしも悪いことだけではなかった。言い方がどうかと思うが、このご時世の在り方に救われたことも数多くある。

 

もちろん、1日も早い感染収束を願っているし、コロナ対策は引き続きしていこうと思うが、こんな暗い世の中だからこそ、ピンチをチャンスに、あえて斜めに考えてみることで、逆に前向きに生きる事が出来るのではないだろうか、と思う。

 

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ケチレベル上昇と下らない見栄

 

 

 

年がら年中、お金がない貧乏だ底辺だと喚き散らしているが、これから本当にマジでガチで高額の集金イベントが次々と控えている。

 

まず、塾の初期費用の支払い。地元で最安値であるとはいえ、入会金や1年分の教材費を最初にまとめて払うので、ガッツリ減る。そして、次に来るのが車検。あまりに高額過ぎるので、代車の手配やその他諸々のオプションは無しにした。これだけで数万円は浮くのだから、ケチれるところはケチる以外ない。

 

そして、極め付けは子供2人分の学資保険である。年払いにすると少し安くなるので、ケチってそっちにしたのだが、当たり前にキツい無能でお金の管理が出来ない事から、学資保険という強制的に貯められる方法を取っているのだが、年1で一気にドカンと来るので、精神的にもドカンと来る。夫にも「自爆することが見えてるのによく年払いにしたね」とキツい一言を浴びせられたが、異論はない。

 

 

なので、最近は以前にも増して、ケチレベルをあげて生活している。最近買った中で、一番これはいいと思ったのが、乳液・美容液・下地の機能が1つになったファンデーション。しかもワンコインである。仕上がりは普通のファンデより劣るが、このコロナ禍で素顔の半分は隠れているのだから、今はこれで十分である。このファンデを使うようになってから、朝の乳液も塗らなくなった。ちなみに、このファンデ専用のケースも別売りであったのだが、もちろんそんな高価なものは買わず、家にあった小さなジップロックに入れて使用している。

 

あとは、ダイエットも兼ねて、最近オープンした少し遠くの激安スーパーに行くようにしている。この地域では生鮮食品が最安値であり、見切り品にもよく遭遇する。安いものハンターの私に取ってはパラダイスのようなスーパーなので、ここ1つに絞って数日に1回まとめて買い物している。

 

しかし、困ったことに、最近このスーパーで上の子供と幼稚園が一緒だったママさんが働き始めてしまい、レジで頻繁に会うようになってしまったのだ。避けるように他の人のレジに並んでも、「よろしかったらこちらのレジどうぞ〜」と、誘導されてしまうので、逃げ場がない。

 

カゴの中は毎回見られたくない物がいっぱい。カップラーメンに、半額の肉に、見切り品の野菜に、料理したくないが為に買った値下げ品の惣菜…あげればキリがない。あぁ、この人絶対心の中で笑ってるよ…と恥ずかしくなるのだが、気を遣って世間話を振ってくれるのが、余計に気まずさを煽る。

 

こうして、お宝をゲットしてテンション上げ上げになるはずが、テンション下げ下げで帰る羽目になるのだ。

 

ちなみにこのママさんはすごく綺麗な人である。しかも、しっかりしている方なので、まだ働き出して1ヶ月も経っていないのにものすごく手際良くお客さんを捌いていた。同じ接客業を2年も続けているくせに、研修中バッヂを付けたママよりポンコツの私って一体…と、これまた違う意味でテンション下げ下げになる。

 

しかし、こんなしょうもないプライドを守るよりも、生きていく事の方が大事だ。なので、今日も元気に見切り品とお買い得品をカゴいっぱいに詰めて、有能ママのレジに誘導されに行くのである。

 

 

と言うわけで、午前中ダラけ過ぎたので、買い物に行ってきます。

 

 

 

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努力は必ずしも報われる訳ではないけれど

 

 

 

先日、上の子供が塾の体験に行ってきた。

 

tomatoma218.hatenablog.com

 

子供の出した答えは「通いたい」一択。先生も優しいし、自分のペースで無理なく勉強出来たので良かったとのこと。あとは正式に入塾の手続きをするだけ。何ヶ月も悩んでいたので、ようやく塾活?が終わることにホッとした。

 

だが、塾通いをするとなると、この地元で一番安い月謝とはいえ、お金が掛かるのは事実である。しかし、今まで以上にシフトを増やすのもまた難しい。というのも、シフトは全て責任者であるお局様が決めているからだ。

 

お局様に嫌われた人は、とことんシフトを削られている。酷い人は希望を出した日の1〜2割程度しか入れてもらえない事もある。それが原因で最近辞めた人もいる。その辞めた人は、時々ダブルワーク先から廃棄の惣菜を貰ってきてくれるから助かっていたのだが…

 

 

私も、決してお局様には好かれていないので、所々シフトは削られている。忙しくなりそうだから入って!と言われた日ですら、1日丸々削られていた。自分が無能だからというのは分かっているのだが、やはり悲しい。こんな状態で収入を増やすのは至難の業だ。転職も考えてはいるが、このコロナ禍で子持ち主婦を新しく雇ってくれる企業は数少ない。

 

 

なので、今の仕事に全力を尽くすべく、つまらないミスをしないように、最低限のことはこなせるように頑張っているのだが、この間、70代くらいのお婆さんに「お姉さん接客態度がいいわね!名前なんて言うの?」と突然、激褒めされた。怒られることはあっても、褒められることはほとんど無いので、驚きのあまり、逆に挙動不審になってしまった。

 

そこに偶然お局様が通り掛かったのだが、お婆さんは「この子、すごく気が利くし良い子ね!もう名前も覚えたのよ〜」とお局様にまで私のことを激褒めしてくれた。もちろんお局様は「は?嘘でしょ?こいつ超無能だけど?」みたいな顔をしていたが。

 

 

しかし、その日、勤務を終えて、次の日のシフトを確認したら驚いた。削られていたはずのシフトが丸々復活していたのだ。え、まさか、認められた?!こんなことは滅多にないので、何度も勤務表を確認してしまった。

 

努力は必ずしも報われる訳じゃない。店員を人間とも見ない客ばかりで嫌気が差していた接客業。だけど、見ていてくれる人はいるのだな、と、腐りかけていた心が温かくなった。

 

それだけでなく、無言ながらも少しは認めてくれたお局様にも感謝した。このブログのスローガン「底辺でも誇り高く生きる」に相応しい1日だったのではないか、と、今日だけは自分で自分を褒めたいと思う。

 

(この調子で、子供の塾代を稼げるようにもっと頑張ります。)

 

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貧乏でも子供を塾に通わせたい〜その2〜

 

 

 

こちらの記事の続きになります。

 

tomatoma218.hatenablog.com

 

 

チラシに記載されていた住所通りの場所に着くと、5階建ての古いマンションが聳え立っていた。大手の塾が駅前にあるのに対して、この塾は住宅街のど真ん中。どうやらこの古いマンションのどこかの一室がその塾であるらしい。

 

マンションの前に自転車を停め、狭い階段を上った先の一室が、そこの塾だった。門構えは完全に普通の家。少し…いや、かなりの不安を感じながらも、思い切ってインターフォンを押す。しばらくすると、これまた私にとっては(変な意味ではなく)もう超どストライクなおじさんとお爺さんの中間ぐらいの年齢と思われる塾長が、満面の笑みで迎え入れてくれた。

 

 

「お待ちしていましたよ〜どうぞ、お入りください」

 

 

 子供と一緒に緊張しながら、塾長の後をついて行った。モノの溢れる狭い面談室に通されると、家に入っていたチラシの内容を少しだけ詳しくした手作り感満載のチラシを手渡され、塾長から色々と説明を受けた。実際に勉強する教室も少し見せて頂いたが、本当に小さかった。1クラス5人程度の少人数制であるらしい。

 

「うちではね、目標をクリア出来たら、その都度、ご褒美をあげているんですよ、ほら、今流行りのこれとかね」

 

そう言って塾長が見せてくれたのは、段ボールいっぱいに入った鬼滅の刃グッズ。どや!欲しいやろ!的な得意げな顔をする塾長だったが、残念ながら我が家の息子は流行り物に全く興味がなく、「すごいですね…」と口ではいうものの、完全に引き気味。

 

 

「私もねぇ、だいぶ覚えたんですよ。ほら、このキャラは、○○でしょ、これは…」

 

 

楽しそうに話す塾長に親子で戸惑いながらも、子供は満更でもない顔をしていた。もう何年も親をしているから分かる。この顔は相手に気を許している顔である。

 

そうこう話を聞いていると、これから授業だという生徒さんがやってきた。その子を見てびっくりする子供。なんと、学校の同じクラスの優等生だったからだ。

 

 

「この子は本当によく出来る子なんですよ。いつも一番に来てね、よく頑張っていますよ」

 

塾長に褒め殺しされて、優等生は照れて俯きながら、近くにあるタイマーをセットした。そして、モノの溢れかえった古い水道で手を洗い始めた。

 

「うちでは来たらすぐに自分でタイマーをセットして1分間手を洗ってもらいます。コロナ対策もしていますよ、ほら、アルコールも除菌グッズもまだまだたくさん在庫ありますからね!」

 

またしても満面の笑みを浮かべながら、塾長が山積みされた段ボールの箱を指差す。1つ1つマジックで「アルコール」「手洗い液」と書かれている。

 

手洗い終了のタイマーが鳴り、クラスの優等生は子供を一瞥し、教室へ入っていった。そのタイミングで、私達の面談も終了し、体験授業の予約をし、失礼した。

 

 

 「体験は来週だけど、雰囲気はどうだった?」

 

帰り道、子供に聞いてみると、「あの先生、優しそう。いいかも…」と、やはり満更でもなさそうな台詞が返ってきた。さすが、私の息子。よく分かっている。私もあのおじさん(お爺さん)先生は絶対にガチだと思う。

 

 

一昔の匂いが漂う、古い、小さな町の塾。ところ狭しに段ボールが積んである、塾らしくない塾。セレブなママ友は絶対に子供をこの塾には通わせないだろう、と確信したほど、大手とは何もかもが違い過ぎる塾。

 

だけど逆に、私にとってはここしかない!としか思えなかった。子供を託すにはまさにどストライクの塾だったからだ。

 

 

さっきからどストライクだとかガチだと言っているのは、実は私もあの先生と同じようなお爺さんに教えてもらった、町の個人経営塾出身者だからだ。月謝も地元で一番安く、教室も小さいし古かった。だけど、人の良いお爺さん先生に優しく丁寧に教えてもらった、忘れられない思い出がある。底辺ながらも最低限の学を身に付けて、こうして今生きていけているのは、あの先生のおかげでもあるからだ。

 

このコロナ禍の中、オンライン授業もなく、アナログで、時代の逆を行くような塾だけど、生徒に自発的にタイマーを掛けさせ、1分間手を洗わせてから授業をするという取り組みに、深く感銘を受けた。コロナ対策を相手任せにせず、自分の身は自分で守る。そうする事で、相手も守る。当たり前だけど一番大切なことではないかと思ったのだ。

 

とはいえ、まだ肝心の授業は受けていないから本決まりとは行かないのだが(ここまでほとんど私のエゴだし)、子供も先生に好印象を持っているし、優等生の子も居て子供の刺激にもなりそうだし、このまま入塾の流れになればいいと思っている。

 

貧乏でも子供を塾に通わせたい〜その1〜

 

 

 

上の息子がそろそろ小学校高学年になるのだが、周りはもっぱら塾の話題で持ちきりである。

 

同じ学年の子供がいるママ友からは「息子くん塾どうする?」と深刻な顔で聞かれ、そして、先輩ママ友からは「息子、塾決まったの?早く決めないと新学期始まるよ!」と発破をかけられている。

 

そもそも、こんな底辺家庭の人間にこんな話題を振る事自体がお門違いだと思うが、ちょうど私自身もここ最近、子供に勉強を教えるのがしんどく感じ始めてきたところだった。なので、収入的に無謀ながらも、子供の塾通いを検討していたところだった。

 

とはいえ、子供に中学受験をさせる予定はなく(頭脳的にも金銭的にも無理)、あくまでも学習習慣を身に付けさせるため、そして、Fラン卒の私よりもプロの方に教えて頂いた方が良いのではないかという事で検討しているだけである。

 

色々調べてみるも、当たり前だがどこの塾もやはり高い。集団個別で料金の差はあれど、大手塾はやはり手が届かない値段設定だ。うーん、どうするか、無理して集団で週1回だけ、なら何とかなるか…いや、でもなぁ…と悩んでいたある日、とあるチラシがポストに投函されていた。

 

見てみると、名前も聞いたことのない塾のチラシだった。どうやら個人経営の小さな塾らしい。料金設定を見ると、大手塾に比べてかなりリーズナブル。しかし、学年によっては募集枠がもう残りわずかであるらしい。

 

なるほど…大手じゃなくても、町の塾という手があったか。しかも、価格設定も良心的だし、家から近いし…ここなら行けるかも!?と思い、勇気を出して問い合わせをしてみた。すると、ラッキーなことに、子供の学年はまだ空きの枠があり、面談をしてもらえることになった。

 

 

「え!僕、塾に行けるの?!うそ、本当に?学校が無料で教えてくれるだけで有り難いのに、さらに塾も!?」

 

塾見学に行くことが決まり、子供は夢みたいと言わんばかりに目をキラキラさせた。こんな台詞を普通に言わせてしまう家庭環境に改めて申し訳なさと情けなさを感じながらも、塾の見学に行けるだけで喜ぶ子供を見ながら、こちらまで何だか嬉しくなった。

 

そして、先日早速見学に行ってきたのだが、もう、何というか、私にとってはドンピシャの塾だった。長くなるので、次記事に続きます。

 

 

貧乏PRIDE

 

 


以前、我が家の子供の服は、ほとんどがセレブなママ友のお子さんからのお下がりなので、上の子供に新しい服が欲しいと言われた話を書いた。

 

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この時に買ったダッフルコートは、もうすでに袖に毛玉が出来まくっている。誰も着た事のない新品ということが余程嬉しかったのか、子供がたくさん着た結果である。そして、先週のスイミングスクールにも子供がこのダッフルコートを着て行ったのだが、いつも服をくれるセレブなママ友がそれを見て、衝撃の一言を発したのだ。

 

 

「あ。このダッフル、うちも兄弟お揃いで買ったよ〜。でも、2人ともすぐ飽きて着なくなっちゃってさ。まだ綺麗だから2人分あげようか?」

 

 

それを聞いた上の子供は固まった。その隣で私は更に固まった。唯一、無邪気に喜んでいるのは、兄と同じコートをもらえる事になった下の子供だけ。

 

仕方ない。何も知らない彼女は、全く悪くない。我が家がこのダッフルを買うのに、清水の舞台から飛び降りたことも、それだけの苦労をしただけに子供が大喜びしたことなんて、知る由もないのだから。

 

むしろ、この袖ボロのコートより綺麗なものを譲ってくれるなんて、親の私は正直有り難く思っているぐらいだ。しかし、上の子供の手前、大喜びする訳にもいかず、

 

「あ、ありがとう…でもね、なんか、このダッフル、めっちゃボロだけど、このボロ加減が逆に愛着湧いてるみたいでさ…だから、下の子供の分だけ頂いてもいいかな…」

 

と、みるみる落ち込んで行く上の子供の顔色を伺いながら、セレブママに返すので一杯一杯だった。

 

 

何の疑いもせず、セレブママは「そう?それなら次のレッスンの時に、次男ちゃんのだけ持ってくるねー」と、深く聞いてくることもなく、嫌な顔もせずこちらのお願いを快く受け入れてくれた事が幸いだったが、上の子供のテンションはだだ下がり。だけど、下の子供とお揃いになることは嬉しかったようで、アイスを食べたらあっという間に機嫌が直ってくれたので良かった。

 

貧乏でもプライドを捨てずに貫いた事は、自分で自分を褒めてもいいのではないか。着過ぎてすぐにボロになったコートでも、汗水垂らして働いた、すずめの涙ほどの給料から買った大切なものだから。

 

それでも、一瞬でも子供を傷つけてしまったことはやはり親として申し訳なく思う。私みたいな無能な人間は、今まで通りに汗水垂らして働く事しか出来ないが、それと並行して、少しでも子供を豊かに育てて行ける道を模索しなければ。

 

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