底辺でも誇り高く生きる日記

貧乏・コミュ障・卑屈の三重苦主婦です

物分かりがいい子供の心の闇

 

 

この間、下の子供(次男)と普段行かない公園に遊びに行った。

 

ずっと行きたいとせがまれていた公園で、自宅から遠く、駅から離れていると言うこともあり、なかなか行けなかったのだが、最近春めいた暖かい気候が続いていたので、重い腰を上げて、ようやく連れて行く事ができた。

 

 

次男は初めての遊具に目をキラキラさせ、早速近くにあったアスレチックで遊ぼうとした。

 

しかし、そこで遊んでいた男の子が、『これ、ぜーんぶ僕と◯◯(妹)のもの!だから、入って来ちゃだーめ!』と彼に強い口調で言ってきた。

 

カラフルなトレーナーを着たその子は、見た感じ、次男と同い年か、1つ上くらいに見える。妹がいると言ったので、辺りを見回してみたら、違う遊具でお母さんらしき人と手を繋いでいる1歳ぐらいの女の子がいたので、きっとその子の事だろう。

 

 

今でさえ、2人子供の親ではあるが、昔から生意気な子供が大嫌いな私。

 

『は?公園の遊具はみんなのものだろうがクソガキ!』と、そのままこの生意気な子供にダイレクトに返したかったのだが、気が弱過ぎる上に何も言えず、次男の耳元で『あっち行こうか…』と、立ち去るように諭すことしか出来なかった。

 

 

悔しい、と言うより、大人としても親としても、情けない。↑のような汚い口調でなくても、他所の子供だろうが、悪いことは悪いと伝えなければいけなかったのに。

 

心の中で地団駄を踏んでいる私をよそに、次男は表情1つ変えることなく、『お母さん、あっちに行こう』と、別の遊具に私を誘導した。いつもなら私の代わりに『ここはみんなのものだよ』とハッキリ言う事が出来るのだが、次男は今回、その子に言い返す事もしなかった。

 

こうして、次男があっさり折れて、遊具の取り合い?は収まったかと思った。しかし、その男の子の妹が、次男と遊んで欲しいのか、彼の後ろを着いて来たのだ。

 

 

ここまではよくある光景で、次男も小さい子が寄ってくると『あ〜。赤ちゃん着いてきてる。可愛いね』と照れながらも嬉しそうにするのだが、何故か今回に限っては完全無視。

 

 

え?なんで?気づいてないの?

すぐ後ろに赤ちゃんがいるじゃん…

 

そう思いながらも、スルーし続ける次男。それに気づいた赤ちゃんのお母さんに『ごめんなさい、お兄ちゃんのこと気に入ったみたいで』と声を掛けられるも、苦笑いを浮かべることしか出来ない私。

 

そこに、さっきの男の子が独占していたアスレチックから降りて来て、彼もまた次男を追いかけ始め、今度は『ここも遊んじゃダメ〜』と再び追い出しに掛かって来た。それどころか、次男より小さな他の子にも意地悪なことを言い始めたので、さすがにもう黙っちゃいられんと思い、自然と口から大声が出てしまった。

 

 

『ここはみんなの遊び場だから、一緒に遊ばせてね!』

 

さっきまで気弱だった私の目の色が急に変わったことに、男の子は一瞬怯んだような表情を浮かべた。しかし、それもすぐにさっきの生意気な表情に戻り、今度は立ち去る次男を追い掛け始めた。

 

 

『すみません、何か、構って欲しいみたいで』そう言う男の子のお母さんの言葉も聞こえているのか、聞こえていないのか、次男は追いかけてくるこの兄妹を完全スルーで、マイペースに遊び続けている。

 

『いえいえ、こちらこそすみません…』と、お母さんに謝ったその時、突然次男は立ち止まり、『お母さん、もう帰ろ。』と、私の手を引き、スタスタと自転車置き場に向かって歩き出してしまった。恐る恐る後ろを振り返ると、次男に無視され、しょんぼりとした兄妹が、こちらをじっと見つめていた。

 

 

せっかくの公園遊びが何だか消化不良に終わってしまったことにガッカリしつつ、今まで見た事のない次男の行動に驚いてしまい、『さっき男の子と赤ちゃんが追いかけて来てたのに、気づかなかったの?』と、自転車を漕ぎながら聞いてみた。

 

すると

 

『いや?気付いてたけど?笑』

 

 

と、悪意のこもった返事が薄笑いと共に返ってきたので、若干寒気がした。

 

 

 

あぁ、やっぱり、わざとだったか。

 

次男は意地悪な子が許せなくて、何を言われてもスルーを貫いたのだ。同じ歳の頃はすぐに頭に血が登り、手を出し、身体的苦痛を負わせようとした長男とは違い、次男は精神的苦痛でやり返したのだ。

 

もちろん、どちらも決して良いことではない。しかし、本当に仲良くしたい友達であったなら、次男はちゃんと口で『みんなで使うものを独り占めしたらいけない』とハッキリ伝える性格だ。それすらしなかったと言うことは、あの子は次男にとって、それまでの存在だったと言うことなのだろう。

 

 

とはいえ、あの悪代官のような顔は、親として少し不安になった。

 

スルースキルがあると言えば、聞こえはいいかもしれないが、普段からニコニコしていて、愛嬌のある次男の心の闇を覗いてしまったような気がしたからだ。

 

 

子供の心を育てるのは、本当に難しい。

あの時、親としてなんと言うのが正解だったのだろうか。

 

しかし、あの次男の悪びれもしない態度を咎めるどころか、ざまあと思ってしまったほど性格の悪い私が何を言っても、彼には響かないに違いない。

 

 

 

『みんなの場所はみんなで仲良く使おう。それが出来ない子とは、無理に仲良くする必要はないよ』

 

 

 

うーん、こんな言葉が妥当だろうか…